注文住宅で最初につまずきやすいのが土地探しです。よくあるのは、気に入った土地を先に契約したあとで、地盤改良や上下水道の引き込みに数百万円かかると分かり、建物の予算を削ることになるケースです。土地の価格は表示された金額だけでは終わりません。このページでは、土地と建物を一つの予算として考えるための順番と、契約前に確認しておく項目を整理します。制度や規制の扱いは市町村ごとに違うため、最終的な可否は必ず自治体の窓口で確認してください。
土地を先に買うと予算が合わなくなる理由
不動産会社で土地を探し、決まってから建てる会社を選ぶ。順番としては自然に見えますが、注文住宅ではこの進め方が予算のずれを生みます。理由は3つあります。
1. 土地にいくらまで出せるかは、建物の値段が決まらないと出せない
総予算が3,500万円だとして、土地に1,500万円使えるかどうかは、建てたい家が2,000万円で建つかどうかで決まります。建物の概算を持たないまま土地を見に行くと、「この土地なら手が届く」という判断の基準がありません。先に工務店に相談して、希望の広さと仕様でいくらになるかの目安をもらっておくと、土地に回せる金額がはっきりします。
2. その土地に希望の家が建つとは限らない
敷地には、建ぺい率や容積率、高さの制限、道路との関係など、法律上の条件がついています。平屋を建てたいのに敷地が狭い、2台分の駐車場をとると建物が入らない、といったことは図面を引いてみて初めて分かります。契約前に工務店へ物件資料を見せ、希望の家が入るかを確認してもらうだけで防げます。
3. 造成や地盤改良の費用は土地ごとに違う
同じ坪単価でも、道路より低い土地は盛り土が要り、田んぼだった土地は地盤改良が必要になることがあります。この費用は土地の価格に含まれていません。建築の側から見てもらわないと、いくら上乗せになるかが読めない部分です。
土地代のほかにかかるお金
土地の購入では、表示価格のほかに諸費用と造成関係の費用がかかります。これを見込んでいないと、建物の予算が後から削られます。
| 項目 | 中身 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社への手数料。売買価格400万円超なら価格の3%+6万円+消費税が法定の上限 | 1,500万円の土地で約56万円+税 |
| 登記費用・司法書士報酬 | 所有権移転登記など | 約20〜40万円 |
| 印紙税・不動産取得税など | 契約書に貼る印紙、取得時の税金(軽減措置あり) | 物件により変動 |
| 地盤調査・地盤改良 | 調査は数万円。改良が必要な場合は工法で大きく変わる | 改良が必要なら約50〜150万円 |
| 造成・擁壁・盛り土 | 高低差の解消、土留めなど | 条件により数十万〜数百万円 |
| 上下水道の引き込み | 前面道路に本管がない、宅内に引き込みがない場合の工事 | 約30〜100万円 |
| 古家の解体 | 建物付きの土地を更地にする場合 | 木造30坪で約100〜150万円 |
※金額は一般的な目安です。敷地条件・自治体の制度・時期によって変わります。最新の負担金や手数料は各市町村の窓口で確認してください。
とくに見落とされやすいのが上下水道の引き込みと地盤改良です。売り出し中の土地の資料には「上水道引込済」「本管有」などと書かれていることがあり、この記載がない土地は工事が必要になる可能性があります。分からないときは、不動産会社か市町村の水道担当窓口に確認できます。古家付きの土地を検討する場合、解体費用の目安は茨城の解体費用の相場にまとめてあります。
条件に優先順位をつける
希望をすべて満たす土地はまず出てきません。探し始める前に、条件を「変えられないもの」と「あとから工夫できるもの」に分けておくと、決断が早くなります。
| 変えられない条件 | あとから工夫できる条件 |
|---|---|
| 通勤・通学にかかる時間 | 日当たり(間取りや窓の配置で調整できる) |
| 学区、生活圏 | 道路からの視線(塀や植栽で対応できる) |
| 敷地の広さ、形 | 駐車のしやすさ(外構の設計で改善できる) |
| 前面道路の幅、接道の状況 | 庭の広さ(優先順位を下げやすい) |
| 浸水想定などの災害リスク | 建物の向き |
左側は土地を買ったあとで直せません。右側は設計や外構で解決できる余地があります。北向きの土地は敬遠されがちですが、価格が抑えられていることが多く、窓の取り方しだいで明るい家になります。土地の条件だけで判断せず、工務店に「この土地でどう建てられるか」を聞いてから決めると選択肢が広がります。
契約前に現地で見る7つの点
- 時間帯を変えて2回以上行く。平日の朝と休日の昼では、交通量も人通りも変わります。夜の暗さ、周囲の騒音は昼だけでは分かりません。
- 前面道路の幅と接道。建築基準法では原則として幅4m以上の道路に2m以上接している必要があります。狭い道の場合、敷地を後退させる(セットバック)ことになり、使える面積が減ります。
- 境界標があるか。四隅に境界の杭やプレートがあるかを確認します。ない場合は測量が必要になることがあります。
- 電柱・消火栓・プロパンガスのボンベ庫などの位置。敷地の出入口にあると、駐車の邪魔になることがあります。移設できるかは事業者次第です。
- 隣家の窓と高さ。隣の2階の窓がこちらの庭を向いているか、境界近くに大きな木がないかを見ます。
- 水はけ。雨の翌日に行くと、水がたまる場所が分かります。周囲より低い土地は要注意です。
- ハザードマップ。浸水想定区域、土砂災害警戒区域に入っていないかを市町村の公開情報で確認します。
7項目のうち、現地に行かないと分からないものが半分以上あります。ネットの情報と資料だけで決めず、必ず足を運んでください。
茨城で特に確認したいこと
市街化調整区域は原則として家を建てられない
茨城県内には市街化調整区域が広く残っています。この区域は市街化を抑える区域として定められているため、原則として住宅を新築できません。ただし例外の許可制度があり、条件を満たせば建てられる場合もあります。条件も運用も市町村ごとに違うため、その土地に家が建てられるかどうかは必ず自治体の都市計画担当窓口で確認してください。相場より明らかに安い土地は、この区域に該当していることがあります。
農地は転用の手続きが要る
登記上の地目が「田」「畑」になっている土地に家を建てるには、農地転用の手続きが必要です。許可が下りるかどうか、どれくらい時間がかかるかは、農地の区分や場所によって変わります。手続きは行政書士や不動産会社が代行することが多いのですが、買ってから転用できないと分かると取り返しがつかないので、契約前に見通しを確認しておく必要があります。
車の台数を先に決めておく
茨城は日常の移動に車を使う地域で、大人ひとりに1台という家庭も珍しくありません。来客用も含めて何台停めるかを先に決めておかないと、家が建ったあとで駐車スペースが足りなくなります。土地の広さを検討するときは、建物の面積と一緒に駐車スペースの面積を見込んでください。1台分の目安は約13〜15㎡です。駐車場の工事費は駐車場をコンクリートにする費用で解説しています。
造成前の土地は地盤の確認を
田畑を宅地に変えた土地では、地盤改良が必要になることがあります。地盤の強さは実際に調査してみないと分かりませんが、周辺の造成の履歴や、隣接する家の基礎の状態はひとつの手がかりになります。心配な場合は、工務店に近隣での施工実績を聞いてみてください。
【独自集計】土地探しから相談できる工務店は6社に1社
当サイトに掲載している茨城県内30エリア・412社の工務店について、公開情報から対応内容を集計しました。土地探しの相談に対応していると明記していたのは66社でした。
※自社調べ。ibaraki-yorozu.com 掲載の茨城県内412社(30エリア・平均評価4.34/有効373件)の公開情報をもとに2026年時点で集計。
土地なしから相談すると、候補は6分の1に絞られる
412社のうち、土地探しからの相談に対応しているのは66社、全体の16%です。土地を持たずに工務店を探すと、声をかけられる会社が最初から6社に1社まで絞られるということになります。だからこそ、土地探しに対応している会社を先に見つけておく価値があります。
ただし、これは公開情報に明記があるかどうかの集計です。看板に出していなくても、地元の不動産会社とつながりがあって相談に乗ってくれる工務店は少なくありません。気になる会社があれば、土地から相談できるかを直接聞いてみるのが確実です。
自由設計7割、平屋・二世帯は4社に1社
自由設計に対応する会社が291社と7割を占める一方、平屋や二世帯を明記しているのは105社でした。土地の広さは建てたい家の形で決まります。平屋を希望するなら、同じ延床面積でも2階建てより広い敷地が要るので、土地探しの段階から平屋の実績がある会社に相談したほうが話が早く進みます。
会社ごとの対応内容と口コミは、エリア別の一覧ページで比較できます。会社の見極め方は茨城で失敗しない工務店の選び方にまとめました。
茨城の工務店を比較する
土地探しから相談できるか、希望の工法や性能に対応できるか。茨城県内のエリア別に、対応内容・施工事例・Google口コミで比べられる工務店をまとめています。
▶ 茨城県内 全エリアの工務店一覧を見るよくある質問(FAQ)
Q. 土地と工務店、どちらを先に決めるべきですか?
工務店に先に相談し、建物の概算を出してもらってから土地を探す進め方をおすすめします。土地にいくらまで出せるかは建物の金額が決まらないと出せませんし、その土地に希望の家が入るかどうかも、建築の側から見てもらわないと分かりません。候補の土地が出たら、契約前に工務店に資料を見てもらってください。
Q. 土地探しから相談できる工務店はどれくらいありますか?
当サイト掲載の茨城県内412社のうち、土地探しの相談に対応していると明記しているのは66社、全体の16%です。看板に出していなくても相談に乗ってくれる会社はあるため、気になる会社には直接聞いてみるのが確実です。
Q. 土地代のほかにどれくらいお金がかかりますか?
仲介手数料(400万円超の売買で価格の3%+6万円+消費税が法定の上限)、登記費用、税金に加えて、地盤改良が必要なら50〜150万円程度、上下水道の引き込みが必要なら30〜100万円程度が上乗せになることがあります。造成や擁壁が必要な土地では、さらに大きな金額になる場合もあります。
Q. 相場より安い土地には理由がありますか?
市街化調整区域で原則として家が建てられない、農地転用の手続きが要る、道路付けが悪い、高低差があって造成費がかかる、といった事情が背景にあることがあります。安さの理由は必ず確認してください。建築の可否は市町村の窓口で確認するのが確実です。
Q. 市街化調整区域の土地は買ってはいけませんか?
原則として住宅は新築できませんが、条件を満たせば許可を受けて建てられる場合があります。ただし条件も運用も市町村ごとに違い、判断が難しい領域です。購入を検討するなら、契約前に自治体の都市計画担当窓口と、実績のある工務店の両方に確認してください。