外壁塗装で「どの塗料にするか」は、そのまま「次に塗り替えるのは何年後か」を決める選択です。安い塗料で回数を増やすか、高い塗料で間隔を空けるか。どちらが得かは、あと何年その家に住むかによって答えが変わります。このページでは塗料の種類ごとの性格を整理したうえで、住み続ける年数から逆算する考え方を紹介します。塗料別の㎡単価と総額の目安は茨城の外壁塗装の相場にまとめてあるので、金額はそちらとあわせて見てください。
塗料6種類の耐用年数と性格
外壁塗料は、樹脂の種類でグレードが分かれます。上のグレードほど紫外線に強く、色あせやチョーキング(表面が粉を吹く現象)が出るまでの期間が長くなります。
| 塗料 | 耐用年数の目安 | 性格 |
|---|---|---|
| アクリル | 約5〜7年 | 最も安いが劣化が早い。住宅の外壁で使われることは今はほとんどない |
| ウレタン | 約7〜10年 | 柔らかく密着性が高い。木部や鉄部など細かい部位で今も使われる |
| シリコン | 約10〜13年 | 価格と耐久のつり合いがよく、住宅で最も選ばれている標準グレード |
| ラジカル制御型 | 約12〜15年 | 劣化の原因になるラジカルの発生を抑えたタイプ。シリコンの上位版という位置づけ |
| フッ素 | 約15〜20年 | 汚れにくく色あせに強い。価格は上がるが塗り替え回数を減らせる |
| 無機ハイブリッド | 約20〜25年 | 紫外線に強い無機成分を配合した最上位。初期費用は最も高い |
※耐用年数はメーカーの想定であり、立地・日当たり・下地の状態・施工品質で前後します。同じグレードでも製品によって幅があります。
注意したいのは、この年数が塗膜そのものの寿命であって、家の状態とは別だという点です。日当たりの強い南面と、陰になる北面とでは、同じ塗料でも傷み方が違います。カタログの数字は「条件がそろえばこれくらい」という上限に近い目安として見ておくのが現実的です。
住み続ける年数から逆算して選ぶ
塗料選びで迷ったら、価格の高い安いではなく「あと何年この家に住むか」から考えると答えが出やすくなります。塗り替えは1回あたり足場代だけで15〜25万円ほどかかるため、回数が減ればそのぶん総額も下がります。
| 今後住む年数 | 向いている選択 | 考え方 |
|---|---|---|
| 10年以内(売却・建て替え予定) | シリコン | 次の塗り替えが来る前に手放すなら、上位グレードの費用は回収しにくい |
| 15〜20年 | ラジカル制御型/フッ素 | 1回で最後まで持たせられれば、足場を組むのが1回で済む |
| 20年以上 | フッ素/無機 | 塗り替え2回ぶんの費用と比べると、1回で高い塗料を使うほうが安くなる場合がある |
| 数年後に建て替え・解体 | 部分補修のみ | 全面塗装をせず、傷んだ箇所の補修とコーキングだけで持たせる判断もある |
「高い塗料のほうが結局は得」と言われることがありますが、これは家がその年数まで塗り替えを必要とせずに残る場合の話です。20年後に建て替えの可能性があるなら、無機塗料の寿命は使い切れません。逆に、まだ築15年で長く住むつもりなら、10年ごとに足場を組むより上位グレードで間隔を空けたほうが総額は下がることが多くなります。
水性と油性、1液と2液の違い
グレードとは別に、塗料には希釈の仕方による区分があります。見積書に「水性シリコン」「2液型ウレタン」などと書かれているのは、この組み合わせです。
水性と油性(溶剤)
水で薄めるのが水性、シンナーで薄めるのが油性です。水性は臭いが少なく、近隣への配慮がしやすいのが利点で、住宅街での外壁塗装では主流になっています。油性は密着性と耐久性で有利とされ、鉄部や、水性では乗りにくい素材に使われます。近年は水性の性能が上がっているため、外壁は水性、鉄部は油性、といった使い分けをする業者が多くなっています。
1液型と2液型
そのまま塗れるのが1液型、硬化剤を混ぜて使うのが2液型です。2液型は混ぜてから数時間で固まってしまうため、職人の手間が増えます。そのぶん塗膜が硬く丈夫になりやすいとされ、同じシリコンでも2液型のほうが単価が上がります。見積書に「2液型」と書いてあるなら、手間のかかる仕様を選んでいるという意味です。
遮熱・低汚染などの付加機能は必要か
グレードとは別に、機能をうたった塗料があります。すべてが必要なわけではないので、家の状況に照らして選んでください。
- 遮熱・断熱……太陽光の熱を反射して、屋根や室内の温度上昇を抑えるタイプです。効果が出やすいのは日射を直接受ける屋根で、外壁では体感しにくいことがあります。2階が暑くて困っている家では検討の価値があります。
- 低汚染・親水性……表面に汚れが付きにくく、雨で流れ落ちやすい性質を持たせたタイプです。幹線道路沿いや、白系の外壁で汚れが目立つ家に向きます。
- 防カビ・防藻……日当たりの悪い北面や、周りに木が多く湿気がこもる家で効きます。すでに緑や黒の汚れが出ている家は、洗浄だけでなくこの機能を足す価値があります。
- 弾性……ひび割れに追従して膜が伸びるタイプです。モルタル外壁の細かいひびに使われますが、通気性の関係で膨れが出ることもあり、下地との相性で判断が要ります。
機能を足すほど単価は上がります。全部盛りにするのではなく、自分の家で起きている症状に対応するものだけを選ぶのが無駄になりません。今の外壁にどんな症状が出ているかは外壁塗装の劣化サインと塗り替え時期で確認できます。
茨城の環境で効いてくる選び方
海沿いは塩害を前提にする
鹿嶋市や神栖市、日立市や北茨城市など海に近い地域では、潮風に含まれる塩分が鉄部のサビや塗膜の劣化を早める傾向があるとされます。外壁そのものより先に、雨戸やベランダの手すり、給湯器まわりの金物が傷みやすいので、外壁の塗料だけでなく鉄部の下塗り(サビ止め)に何を使うかを見積もりで確認しておくと差が出ます。
からっ風と砂ぼこりには低汚染タイプ
冬に乾いた北西の風が吹く内陸部では、砂ぼこりが外壁に付きやすくなります。とくに白やアイボリーの外壁は汚れが目立つため、雨で流れ落ちやすい低汚染タイプを選ぶと、見た目が長持ちします。
冬の冷え込みと施工時期
塗料は気温5℃を下回る環境や、湿度が高すぎる環境では乾燥がうまく進まないとされ、多くのメーカーが施工条件を定めています。真冬の朝晩に冷え込む時期は、1日のうち塗れる時間が短くなるため工期が延びやすくなります。時期の選び方は塗り替え時期のページで解説しています。
見積書の塗料名から中身を読む
見積書に「外壁塗装一式」としか書かれていない場合、どの塗料が使われるのか分かりません。適正な見積書には、次の情報が入っています。
| 確認する項目 | 見方 |
|---|---|
| メーカー名と製品名 | 製品名で検索すればグレードと想定耐用年数が確認できる。書かれていないものは確認する |
| 下塗り・中塗り・上塗り | 外壁は3回塗りが基本。「2回塗り」になっていたら理由を聞く |
| 塗る面積(㎡) | ㎡数が書かれていないと、単価が妥当かを判断できない |
| 下塗り材の種類 | シーラー、フィラー、サビ止めなど。下地に合ったものが選ばれているか |
| 付帯部の扱い | 雨樋、破風、軒天、雨戸が含まれているか。別料金になっていないか |
※記載の様式は業者によって異なります。項目が足りないと感じたら、内訳の明示を依頼してください。
「うちは特別な塗料を使っています」「この地域限定のモニター価格です」といった説明で製品名を明かさない業者には注意が必要です。塗料はメーカーの既製品を使うのが普通で、名前を出せない理由は基本的にありません。訪問販売でよくある手口は外壁塗装の悪徳業者の見分け方にまとめています。
【独自集計】216社のデータで見る対応塗料と資格
当サイトに掲載している茨城県内24エリア・216社の塗装業者について、公開情報から対応内容を集計しました。上位グレードの塗料を扱うことを明記している会社は、思ったより多くありません。
※自社調べ。ibaraki-yorozu.com 掲載の茨城県内216社(24エリア・平均評価4.66/有効185件)の公開情報をもとに2026年時点で集計。
1. 無機・フッ素を明記しているのは4社に1社以下
無機やフッ素といった上位グレードの取り扱いを公開情報で明記していたのは50社、全体の23%でした。多くの会社の主力はシリコンやラジカル制御型で、上位グレードを希望するなら対応できる会社をあらかじめ絞って声をかけたほうが早いということになります。逆にシリコンでよければ、選択肢はほぼ全社です。
2. 一級塗装技能士の明記は11%、10年以上の保証は6%
国家資格である一級塗装技能士の在籍を明記していたのは23社、10年以上の保証をうたっていたのは13社にとどまりました。裏を返せば、この2つは会社を絞り込むときの実用的なふるいになります。20年もつ塗料を選んでも、施工した会社が保証を出せなければ、不具合が出たときの拠り所がありません。上位グレードの塗料を選ぶときほど、保証年数と施工者の資格をセットで確認する意味があります。
3. 8割の会社が屋根も対応できる
173社、8割の会社が屋根工事にも対応していました。外壁と屋根をまとめて頼めば足場が1回で済むので、同時施工は現実的な選択です。会社ごとの対応内容と口コミは、エリア別の一覧ページで比較できます。
茨城の塗装業者を比較する
希望する塗料グレードに対応できるか、資格や保証はどうか。茨城県内のエリア別に、対応工事・施工事例・Google口コミで比べられる塗装業者をまとめています。
▶ 茨城県内 全エリアの塗装業者一覧を見るよくある質問(FAQ)
Q. 外壁塗装でいちばん選ばれている塗料は何ですか?
住宅ではシリコン系が標準で、耐用年数の目安は10〜13年です。近年はその上位にあたるラジカル制御型を選ぶ家も増えています。当サイト掲載の216社のうち、無機・フッ素といった上位グレードの取り扱いを明記していたのは23%で、多くの会社はシリコンやラジカル制御型を主力にしています。
Q. 高い塗料にすれば結局は安くなりますか?
その家に住み続ける年数によります。塗り替えは1回あたり足場代だけで15〜25万円かかるため、20年以上住むなら回数を減らせる上位グレードのほうが総額を抑えられる場合があります。逆に10年以内に手放す予定なら、上位グレードの費用は回収しにくくなります。
Q. 水性と油性はどちらがいいですか?
外壁は臭いの少ない水性、鉄部は密着性の高い油性、という使い分けが一般的です。かつては油性のほうが耐久性で有利とされていましたが、水性塗料の性能が上がったため、住宅の外壁では水性が主流になっています。
Q. 遮熱塗料は効果がありますか?
日射を直接受ける屋根では温度上昇を抑える効果が期待できます。外壁では体感しにくいことがあるため、2階が暑いといった具体的な悩みがある場合に検討するのが現実的です。機能を足すほど単価は上がるので、症状に対応するものだけを選ぶのが無駄になりません。
Q. 見積書に塗料の名前が書かれていません。問題ですか?
製品名が書かれていないと、どのグレードで何年もつのかを判断できません。メーカー名と製品名、塗る回数、面積(㎡)の記載を依頼してください。名前を明かさない、あるいは独自の特別な塗料だと説明する業者には注意が必要です。